「防災グッズを備えたいけどなにから手をつけたらいいかわからない」
そんな方に向けて、この記事では「フェーズフリー」という新しい防災の考え方と、「備えない防災」のふだん使いと防災の両立が可能な便利なアイテムをご紹介します。この記事を読めば「フェーズフリー」の魅力に気づき、さっそくふだんの生活に取り入れてみたくなるはず。あなたも今日から「備えない防災」を始めてみませんか。
・「備えない防災」フェーズフリーについて詳しくなれる
・フェーズフリーを日常生活に取り入れる方法がわかる
フェーズフリーの基本

フェーズフリーの基本的な考え方について説明します。日常と非常時の垣根を取り払う新しい視点になります。
フェーズフリーとは
フェーズフリーは、ふだん使っているモノやサービスを、非常時にも役立てようという考え方です。特別な準備をしなくても、日常がそのまま防災につながります。たとえば、LEDランタンであれば、ふだんはリビングをよりおしゃれにするために間接照明やインテリアとして使用し、災害時は非常用ライトとして使用するというようなイメージです。LEDランタンは電池や充電で駆動するため、停電になっても使えるという特性を活かしたフェーズフリーですね。
「防災準備って大変そう」
フェーズフリーはそう感じる方にこそ試してほしい考え方です。フェーズフリーは防災を難しく考えず、もっと身近に感じるためのアイデアになるのです。
フェーズフリーが「備えない防災」になる理由
フェーズフリーは、ふだんの生活で使うアイテムを活用します。そのため、特別な防災グッズを用意する必要がありません。「いつか使うかもしれない」としまい込む必要もないのです。
「いつも使っているものだから、操作に迷うことも少なく、自然と防災対策ができている状態をつくれる」
これが「備えない防災」といわれる理由です。意識せずに、無理なく続けられる点が大きなメリットです。
フェーズフリーと防災グッズとの違い
従来の防災グッズは、非常時に特化したものが中心でした。ふだんは使用せず、定期的に電池や食料を点検する必要があります。
一方、フェーズフリーの商品は日常的に使うことを前提としています。そのため、インテリアとして楽しめるものも少なくありません。いつも身近にあるからこそ、いざという時にすぐに役立ちます。
『フェーズフリーは「いつも使える」し、「もしもの時も使える」』
これが防災グッズとの決定的な違いといえるでしょう。
フェーズフリーを実践するメリット

フェーズフリーを生活に取り入れることで、さまざまな利点があります。無理なく防災を実践できる点が魅力です。
日常で使うものが防災グッズになる
フェーズフリーの考え方を取り入れると、身の回りのものが防災グッズになります。例えば、おしゃれなキャンプ用品や、ふだん使いの充電器などです。わざわざ防災専用品を買い揃える必要がなく、取り入れるハードルが低いのは大きなメリットです。
いつも使っているお気に入りのものが、もしもの時に助けとなるため、収納場所に困ることも、管理の手間が増えることもありません。自然な形で、生活の中に防災を取り込めるのです。
ローリングストックで備蓄の概念が不要に
フェーズフリーは、食料備蓄の考え方もシンプルにします。
特別な非常食ではなく、ふだん食べているものを少し多めに買い、古いものから消費し、食べた分だけ補充するのです。この方法はローリングストックとして知られています。この方法を実践することにより、いつもの買い物が、そのまま災害への備えになるのです。
さらに、賞味期限を気にするストレスも減ります。なぜなら、賞味期限が5年の保存食や保存水の管理をする必要がなくなるためです。
ローリングストックをうまく活用できれば、避難生活という非常時であっても、ふだんの食事に近いものを災害時にも食べられます。これは環境の変化に敏感な子どもや高齢者にとって非常に大きな安心材料となるでしょう。
インテリアも「防災」になる
フェーズフリーなアイテムにはデザイン性に優れたものが多くあります。ふだんは部屋をおしゃれに飾るインテリアとして機能し、災害時には頼りになる防災グッズに変わるのです。
例えば、見た目も素敵なLEDランタンや、クッションになる寝袋などがあります。防災用品を隠す必要がなくなるため、すっきりとした空間を保てます。防災グッズのための収納スペースも不要になるのもうれしいところ。「いかにも」な防災グッズを置くことに抵抗がある方にもフェーズフリーはおすすめです。
非常時でも「いつも通り」の生活がおくれる
災害が発生すると、ふだん通りの生活を送るのは困難になります。しかし、フェーズフリーを実践していれば、その変化を緩和できます。
使い慣れたものが身近にあることは、大きな安心感を与えてくれます。食事や明かり、衛生用品などが日常に近い状態だと、ストレスも軽減されるでしょう。
避難生活が心身にどんな影響を与えるのか、はっきりとはわかりません。しかし、きっと大なり小なりストレスを感じずにはいられないのは間違いないでしょう。避難生活において、心と体の負担を少しでも軽くすることは、災害を乗り越えるうえで非常に重要です。ふだんの「備え」が、もしもの時の大きな「支え」となるのです。
【フェーズフリー】商品ガイド

ここでは、日常生活に取り入れやすい具体的なフェーズフリー商品をご紹介します。あなたの生活に合うものを見つけてみてください。
食
ふだんの食卓でも活躍し、もしもの備えにもなる食品です。おいしくて便利なものがたくさんあります。
ふだん使いできる缶詰・レトルト食品
最近の缶詰やレトルト食品は、驚くほど進化しています。味も本格的で、種類も非常に豊富になりました。ふだんの食事の一品としても、十分満足できる品質です。
パスタソース、スープ、煮込み料理なども常温で長く保存できます。これらを少し多めにストックしておくだけで、立派な非常食になります。忙しい日の時短料理の主力にもなってくれる、まさにローリングストックにも最適なアイテムといえるでしょう。
長期保存できるおしゃれな非常食
非常食というと、地味なパッケージを想像するかもしれません。しかし、最近ではデザイン性の高い商品が増えています。例えば、「イザメシ」のようなブランドは、食卓にそのまま出せるようなおしゃれさが魅力です。ギフトにも適した素敵なデザインの商品もあります。パンやごはん、おかず、スイーツまで、メニューも多彩です。これなら、備蓄しておくこと自体が楽しくなります。もしもの時も、おいしい食事は心を和ませてくれるでしょう。
アウトドアでも使える保存水
災害時に最も重要なライフラインの一つが水です。長期保存可能なミネラルウォーターを備蓄しておきましょう。
最近は、デザイン性の高いボトルや、持ち運びに便利な形状のものも登場しています。キャンプやハイキングといったアウトドア活動にもそのまま持っていけます。
ふだんから飲んだり使ったりして、消費した分を買い足す習慣をつけるのがおすすめです。いざという時も、飲みなれた水があると安心できます。
衣
ふだんのファッションとしても楽しみながら、災害時にも役立つ衣料品を紹介します。機能性とデザイン性を兼ね備えたものが増えています。
ふだん着としても使える防災ウェア
燃えにくい素材や、雨風を防ぐ防水透湿素材を使った衣類があります。これらは、もともとアウトドアウェアとして開発されたものが多いです。そのため、機能性が高く、デザインもおしゃれなものがたくさんあります。
ふだんの通勤や週末のレジャーにも活躍するでしょう。災害時には、体を保護し、体温を保つのに役立ちます。一着持っていると、日常から非常時まで幅広く使えて便利です。
おしゃれな防災頭巾
防災頭巾というと、少し古風なイメージがあるかもしれません。しかし、最近ではふだんはクッションや座布団として使えるものが人気です。緊急時には、さっと取り出して頭部を落下物などから守れます。
リビングや子供部屋に置いても、インテリアに自然と馴染むため、ふだんからすぐ手の届く場所に置ける点が最大のメリットです。家族の人数分用意しておくと、より安心感が高まります。
災害時も歩きやすいスニーカー
地震などの災害後は、ガラス片や瓦礫が散乱することがあります。そのような状況で安全に移動するには、丈夫な靴が不可欠です。
特別な靴を用意するのではなく、ふだんから履き慣れているスニーカーで十分です。ただし、靴底が厚く、滑りにくいタイプを選ぶとより安全でしょう。通勤や散歩などで日常的に使用しているものが最適です。玄関など、すぐに持ち出せる場所に一足確保しておきましょう。
住
ふだんの生活空間を快適にしつつ、もしもの時に役立つ住まいのアイテムです。インテリア性と実用性を両立するものが注目されています。
「ふだん」はインテリア、「もしも」はライト
デザイン性の高いLEDランタンが数多く販売されています。ふだんは寝室の間接照明や、リビングのアクセントとして空間を彩ります。そして、停電が発生した際には、頼りになる非常灯や懐中電灯として活躍します。
充電式や電池式のものを選べば、コンセントがない場所でも使用可能です。持ち運びやすいコンパクトなタイプなら、避難する際にも重宝します。まさにおしゃれと実用性を兼ね備えた「フェーズフリー」なアイテムです。
コンパクトになる簡易トイレ
地震などで断水すると、水洗トイレが使えなくなります。そのような場合に備えて、簡易トイレを用意しておくと安心です。使わない時はコンパクトに収納できるタイプが場所を取りません。凝固剤で排泄物を固め、処理袋で衛生的に廃棄できるものが一般的です。目隠しになるポンチョがセットになっていると、プライバシーも確保できます。キャンプや長距離ドライブなど、ふだんのアウトドアシーンでも活用可能です。
いざという時に役立つ家具
地震による家具の転倒は非常に危険です。まずは転倒防止金具などでしっかりと固定することが基本対策となります。それに加えて、家具自体にフェーズフリーの機能を持たせることもできます。
例えば、収納スペースが付いたベンチは、中に防災用品や備蓄品を入れておくと万が一の時に安心です。他にも、ローテーブルが緊急時に担架として使えるようなアイデア家具もあります。次回、家具を買い替えるときでもいいので、防災の考え方も取り入れて家具選びをしてみると、家族の防災意識も高まって一石二鳥です。
すぐに使える防災グッズも大事

ここまでフェーズフリーについて解説してきましたが、個人的には届いたらすぐ使えるような防災グッズや非常食もやはり必要だと思います。
ここまで読んできて「もしも、フェーズフリーを始めてすぐに南海トラフ地震のような大地震が来たらどうしよう」と不安になりませんでしたか?少なくとも筆者はそう考えました。
もちろんこれまで後回しにしていた防災準備を、フェーズフリーというかたちでスタートできたことは誇張抜きで本当に素晴らしいことです。しかし、始めて間もないときに災害が起きて備えが不十分なままだと「もっと早く始めておけばよかった」と後悔しそうな自分もいます。そんな後悔をしないためにも、やはり必要なものが一式で手に入る防災リュックや非常食セットも買っておいて損はないと思います。それによって得られる安心感も非常に大きなものだからです。
「いつか必ず来る災害」にはフェーズフリー。
「明日にも来るかもしれない災害」には専用の防災グッズ。
このような2本立ての防災がもっとも後悔が少ない選択肢ではないでしょうか。

フェーズフリーで「備えない防災」をはじめよう
この記事ではフェーズフリーについて解説しました。
「いつも」使っているものが「もしも」の時にも役立つ、それがフェーズフリーの考えかたです。特別な準備をしなくても、ふだんの生活がそのまま防災につながります。
フェーズフリーを取り入れることで、「備えなくちゃ」というプレッシャーから解放され、もっと気軽に安心を手に入れられます。
「後悔したくない」その気持ちが、あなたと大切な家族を守る最初の一歩です。今日からできるフェーズフリー、始めてみませんか。

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